猫が30歳まで生きる日の本のはなし

本日は珍しく書籍のお話です。
こちらは東大の宮崎先生という方が書かれた本。最近(やっと)読了しました。内容はAIMというある成分の発見と研究の過程が、アカートのような文系頭のド素人にもわかりやすいようにまとめられています。
DSC01962m
AIMとは、猫を飼っている者にとっては夢のような物質。
多くの猫が患うと言われている「腎臓病」に効果が期待できるタンパク質なのです!これがお薬として使えるようになれば、腎臓病で苦しむ猫が少なくなるはず。そして場合によっては30歳まで寿命が延びるかも?という意味でこのようなタイトルが付けられたようです。
もちろん、ここに書かれている科学のすべてを理解したか、と言われると「どうかな?」って感じですが、でも内容はすこぶるわかりやすく読みやすかったと思います。
ちょっとご紹介しますが、ネタバレ注意な内容ですのでまだ読んでいない方はお気をつけて。簡単に教えてほしい、という方は以下をぜひご覧ください。
 
DSC01969m
まず、このAIMというタンパク質を発見した宮崎先生は医者・研究者・科学者としての華麗なる経歴を持つ方。そもそもはお医者さんになるつもりはなかったそうなのですが、なんだかんだ東大医学部へ行くなんてすごい・・・。冒頭からすでに大物の予感しかしませんね。
 
そんな宮崎先生がAIMを発見したのはもちろん偉大なことなのですが、同じくらいすごいのは、いろいろな出会いや偶然、幸運が見事に重なって、AIM研究が進んだということです。
DSC08442m
たとえば、後でAIM研究に協力することになる獣医さんとの出会い。
もっと前の段階では、宮崎先生がフランスの大学やスイスの研究所でとても良い恩師に出会ったことも、大変重要です。さらにそのフランスの大学やスイスのバーゼル研、アメリカの大学など、どこも懐が深く研究者が自由に研究できる土壌が整っていたことも幸運でした。
他にも医学界問わず様々な人との繋がりが奇跡ともいえる展開に発展します。
 
そして宮崎先生の直感というか予感のようなものもこの研究には大きな意味を持ちます。
偶然見つけた謎のAIMについて、最初は何者なのかわからず重要なのかさえ不明だったのですが、直感を信じて向き合い続けた結果、ついに成果が出ます。
もちろん直感だけでなく、研究者としての執念と「治せない病気を治したい」という医師としての強い気持ちの賜物だと思います。
DSC01973m
他にも、専門性に固執しないことやジャンルにこだわらない姿勢が突破口となること。いろんな人との関りや交流で思ってもみない視点を知ること。広い視野を持つことの大切さ。
そんな柔軟さはもちろん、一つのことをやり続ける強い信念や根気強さも必要なんだなあ、と思いました。
 
そもそもは人間のお医者さんだった宮崎先生ですが、その後いろいろあってAIMを使った猫の腎臓病薬を開発することになります。ラッキーなことに猫薬プロジェクトに出資してくれる会社も見つかり、AIMが猫の腎臓病薬として使われる、もうその一歩手前まできていたのですが・・・。
昨今の新型コロナの影響で話は一旦凍結。こんなところでも新型コロナは邪魔をしてくるんですね・・・。
DSC01965m
ただ、全く諦める気などない宮崎先生。
欧州やアメリカの製薬会社にコンタクトを取ったり、個人投資家や投資会社とも話し合いをかさね、いろいろな可能性を探っているそうです。さらにペットフードの会社とも話を進めているそうで、AIMを何らかの形で利用したフードはお薬よりも先に市場に出回るかも?とのこと。大変に楽しみです。
 
そしてこのお話が大きな話題になり、東大にはこれまでにない額の寄付金が一夜にして集まったとか。猫好きや猫の腎臓病でつらい思いをした人が世の中にはたくさんいると、改めて思われたそうです。
その思いを受け取ってしまい、もう絶対に後には引けないと感じられたとか。
ぜひぜひ、期待したいところです。
 
DSC00572mm
書きたいことはもっとあるのですが、ブログが長くなるのでこの辺で。
ちなみにこの本、購入することで印税の一部がAIMの研究に使われるそうです。
アカートも購入してその助けに・・・ではなくて、実はこちら常連のお客様から頂いたもの。
「アカートの分の印税は払っといたわよ」と、粋な計らい!我が家の苦しい家計をご存知なんですね・・・。ありがとうございます!
実はこのお客様も猫を飼っていらっしゃって、少し前に腎不全で愛猫を亡くされました。
その思いもあり、今回この本をアカートにくださったのかと思います。
他にも多くの方にぜひお買い上げいただき、腎臓病の猫たち(と人の病気にもいずれは使われるはずです)が少しでも早く、多く救われるといいな、と思います。
 
 

コメントを残す